2024年2月16日公開
H.I.T. FILMSオリジナルコンテンツ第一弾。
釣り人の数だけ夢がある。
そして人生のステージごとにそれは変化する。
生涯をかけて、真剣に向き合った者にしか辿り着けない境地がある。
フライフィッシングの名手、渋谷直人さんは秋田に生まれ育ち、自らの夢を育んできた。
"たくさん釣りたい" "大物を釣りたい" と言う誰しもが通る道のその先には、どんな夢があるのか?
"夢追い釣人"を追うシリーズ第一弾は渋谷氏の北海道遠征に密着。
初夏の北海道で長いシステムを操り、ドライフライで次々とワイルドレインボーを水面へといざなう。
この作品で見られるのは40オーバー、50オーバーのレインボートラウト。
いずれも素晴らしいコンディションの魚ばかりだ。
釣り人の夢は紡いでいくもの。
#4ロッドで”柔よく剛を制す”その技は、幼少期に身につけたものだったのだ。
【発売記念DVDプレス版】と【オンデマンド版】を発売。
オンデマンドは最大4Kまで対応しています。
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<日本語版>
<英語版>
今回の
渋谷直人さん
Naoto Shibuya
1971年生まれ 秋田県湯沢市在住
伝統工芸・川連漆器の技術を活かすバンブーロッドビルダー。
”ドライフライ”でトラウトと対峙するフライフィッシャー。
渋谷直人オフィシャルサイト
http://kawatsura.com/
舞台は、緑萌える初夏の北海道
解説:岡野伸行/H.I.T. FILMS
2023年6月下旬。
雪代が終わり、水中のサカナたちがいよいよ雪の呪縛から解き放たれる頃。
木々は一斉に緑の面積を広げ、その原動力として水を吸い上げる。
少し前まで増水気味だった川が、途端に渇水傾向へと移る。
一年の中のそのほんのひととき、ニジマスたちは輝きを増す。
”ニジマス”ではなく、フライフィッシャー的には”レインボートラウト”と呼びたくなる。
しかし”本物”を見ると”虹”鱒だと呼びたくなるほど美しい。
名付けた先人の感性に驚嘆する。
北海道においては、渋谷さんはビジターだ。
通い始めて長くはなるが、訪れるのは決まってこの時期。
それは自身のスタイルでもっとも楽しめると感じているからだ。
釣る人と撮る人の関係性
私はこれまで、多くの釣り人を見てきた。
そして会話を交わし、映像に残してきた。
名手と呼ばれる人たちは皆、所作が洗練されている。
それゆえに”簡単そう”にサカナを釣る。
サカナを釣る時と同様、撮る時は目の前の釣り人の動きを洞察する必要がある。
渋谷さんとの付き合いも、もう長い。
こちらも渋谷さんの釣りの流れを予想できれば、渋谷さんもこちらの事情がよく分かっている。
そんな関係性の中で、撮影は進む。
”翻弄”されるか、するか
渇水の進行具合が思っていたよりも早く、サカナの警戒心が憂慮された。
しかしそれは北海道の懐の広さのおかげで杞憂に終わる。
渋谷さんの操る長いリーダーティペットシステムが、渇水の状況でより力を発揮したとも言える。
渋谷さんが”サカナのフライへの出方”を気にしている素振りを、この作品の中でも見ることができる。
理想は”モコッ”であり、”バシャッ”ではない。
長いティペットを使うからこそ理想のドリフトに近づき、違和感なく食わせたい。
そして何より、その後のやりとりの質が変わる。
作品の中では、現場の息遣いやストーリー性を大切にしたいため、あえて解説を入れていない。
ご覧になった時に、その辺りにも着目していただければ、より深く見られるはず。
使用したフライはテレストリアルを意識したBJA(Benjo Abu/左)やカディスや蛾などを意識したカディスパターン。いずれも#6〜2。
渋谷さんの釣りは、撮影者としては難しいと言う一面もある。特にヤマメやイワナではフライにズームしなければ”出た”ことが分からないほど、サカナが違和感なくフライに出るからだ。
しかし今回の北海道では、使うフライがでかい。
フライフィッシングの映像は、ヒットシーンを撮りたいがあまり、ついついフライばかりを追いがちで、アワセのタイミングが分かりにくかったりする。
この作品では、フライの大きさに助けられ、ワイドな画角の映像でバイトからフッキングまで一枚の映像に捉えたものがいくつかある。この様な映像では、渋谷さんの立ち位置とフライが見え、リーダー・ティペットの置き方がわかりアプローチの参考になる。またラインとリーダーの接続部とサカナの位置関係から、いかに長いシステムを操っているかが見て取れるはず。
解説の多い作品ではないが、学ぶべきポイントは無数にあると言っていい。
何度も見るうちに気づける要素を作品全体に散りばめたつもりだ。
もしあなたが、フライを初めてまもないアングラーであれば、10年後にこの作品を見てほしい。
そうすれば、また違った視線でこの作品を楽しめるはずだ。
満面の笑みへ
今回の撮影では、さまざまな川を訪れた。
オホーツク、日本海、太平洋とそれぞれに向かう海も違えば、湧き出た山も違う。
釣れるサカナの個性も様々でレッドバンドの腹側に黒点が少ないスティールヘッド系を思わせるものもいれば、黒点が全体に散りばめられたものもいる。
北海道に訪れた際には、そんなサカナの個性にも注目してほしい。
大きい、小さい、たくさん釣りたい。
そんなことだけではない釣りの楽しさ、目的を見出せば、夢が広がるはずだ。
中学生の頃の渋谷さん。この頃から”今”まで、夢は繋がっている。
作品の中で渋谷さんは夢の遍歴や、現在の夢、そしてこれからの夢のカタチを語っていく。
作品の中の終盤、渋谷さんの現在の楽しみについて語っている。
何気なく聞こえるかもしれないが、とても深い。
いわゆる”プロ”と言われる人たちは、そうでない人と比べるとその釣行日数が桁違いに多い。
当然だが、それだけ経験を積めば”サカナを釣る”と言う行為は”箸でご飯を食べる”様なものになってくる。無論、状況などにより苦戦することはあるのだが”釣り”と言う行為に対する目的や価値観が変わってくる。それは”慣れる” ”飽きる”ことが人間という生物の性質なのだから仕方がない。
所作が成熟したと呼べるまで経験を積んだ人は、人生で釣りが”一周”以上しているのだ。
しかしそれは”連続性”を持ち、幼き頃に得たものが繋がっていることを渋谷さんは語っている。
とは言え、釣り人であり、人間である以上、これまた生物のとしての性質である”欲”もある。
釣りをしている以上は、少しでも大きく、強く、美しいサカナと出会いたい。
渋谷さんほどの人になると、取材をしていてそうそう満面の笑みを見ることはない。
時が経つほどにそれは貴重になってくる。
4Kのススメ
今回の撮影で出会えたサカナたちは、どれも素晴らしいコンディションで個性豊かな美しさを見せてくれた。
この作品はVIMEOオンデマンド版では最大で4K映像での視聴が可能だ。
映像制作に携わるものとして、これこそが4K映像で見るにふさわしい美しさだと感じるとともに、今後の釣りの映像はこう言ったところにもこだわったものが増えてきてほしいと思う。
精細な映像は、サカナの生き物としての強さや威厳を映し取る。
そんなサカナたちを見れば”釣り”と言う遊びが、もっと深く、誇らしくなるはずだ。
4Kでの視聴環境が整う方は、ぜひとも体験してご覧いただきたい。
映像のキレはもちろん、できる限り音楽の数も減らし自然音を活かしている。
魚とのやり取りも、ノーカットでお見せしているシーンもいくつかあり、渋谷さんのサカナとの距離のつめ方、竿やラインを使ったテンションの掛け方などを見ることができる。
渋谷さんに密着したおよそ1週間。
撮れ高として最高だった。
そして旅を共にする中で、各地の美味しいもの、面白い人、熱い人に出会ってきた。
旅で出会った全ての人に、感謝申し上げたい。
渋谷さんの取材を終え、私は北海道の義実家へと向かった。
その道中、”虹鱒”からの、素敵なプレゼントをもらった。
作り手もまた、夢追い釣人
その後、東京へと戻り編集作業へ。
映像制作は機材こそデジタル化が進んではいるが、実際にはとても人間臭いハンドクラフトである。
それも当然、届ける先が人間だから。
この作品のナレーションは菅原正志さんにお願いした。
私などが恐れ多い方なのであるが、自らが幼き頃に見た釣りのビデオのナレーションが菅原さん。
それも自らの作品で声をお願いできるなど、夢の様な事。
私自身も、夢追い釣人なのかもしれない。
ナレーション収録風景。
これまで数々の釣りの映像に声を吹き込んできた菅原正志さん。ルアー・フライ黎明期から釣りを楽しみ、伝えてきた一人。昨今いわゆる「釣りビデオ」と呼ばれるVPがめっきり減ってきたが、本作で再び菅原さんの声が帰ってくる。
ナレーションの収録スタジオの代表も、これまたどうしようもなく釣りが好きな人。
収録中もフライに出た瞬間に思わず変な声が漏れ、サカナの映像に見惚れて沈黙が訪れる素晴らしい現場だった。この作品は釣りが好きな人だけで、作り上げたと言っていい。
本作が一人でも多くの方の心を躍らせ、新たな夢に向かうエネルギーになれば制作者冥利に尽きます。
あなたの夢は、どこに向かっていますか?
Tight lines!
VIMEOはブラウザでも視聴できますが、アプリもございます。
またオンデマンド版の購入にはアカウントの作成が必要です。
【オンデマンド版】と【発売記念DVD版】のバージョンがございます。VIMEOオンデマンドでは4Kまで対応(再生される環境に最適化できます)、DVD版も内容は同様ですが、DVDの規格により画質は劣りますことをご理解の上お買い求めください。VIMEOオンデマンドではアカウント登録が必要になります。事前にアカウントを作成していただくことをお勧めします。
DVD版のご購入については当ホームページウェブショップもしくは<https://hitfilms.base.shop>よりお買い求め下さい。
(※2024年2月16日発売・配信開始予定です)
今後フライショップさまなどでの店頭販売もできるように努力していく所存ですが、今しばらくお待ちください。またオンデマンドに関しても当サイトでの直接販売なども検討しております。
コンテンツのコピーやレンタルは、映像クリエイターにとって大変大きな損失です。今後もより多くの釣りファンの皆さまの心に届く映像をお届けするためにも、ご理解いただきたく思います。